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2021年衆院選に向けた各党の歯科医療政策

 「保険で良い歯科医療を」全国連絡会(以下「全国連絡会」)は、2021年10月31日投開票で行われる衆議院選挙に向けて、主要国政政党への歯科医療政策アンケートを実施しました。10月15日を期日として、立憲、国民、共産、社民の4党から回答が寄せられ、自民、公明、維新、れいわからは回答がありませんでした。寄せられた回答を紹介します。

主要課題への態度
(〇:賛成、△:その他、×:反対)
立憲 国民 共産 社民
衆議院選挙における政策に歯科医療政策はありますか ある ある ある ある
新型コロナ感染症拡大による経営危機に対するすべての歯科医療機関、歯科技工所への減収補填
窓口負担割合の引き下げ
保険適用範囲の拡大


回答全文
1、衆議院選挙における政策に歯科医療政策はありますか
立憲 ある:歯科医療政策全体については、「立憲民主党 政策集2021」の95ページをご覧ください。
国民 ある:旧民主党政権下で成立させた歯科口腔保健法に基づき、生活を支える歯科医療を充実し、歯科領域でもチーム医療を推進します。

歯科技工士の賃金・労働時間等の就労環境を改善し、「製作技工に要する費用」の考え方を明確にします。歯科衛生士については、口腔ケアの担い手としての働く場を拡大する等、就労環境を改善すると同時に、復職支援を進めます。

生涯健康な歯を持つことができるよう、乳児から高齢者まで切れ目ない定期歯科健診の普及促進、高齢者・障がい者の地域生活を支える在宅歯科診療・障がい者歯科医療の充実を図ります。また、虐待の早期発見にもつながるよう小児歯科検診の充実に取り組みます。

共産 ある:◎歯科医療の充実、国民の口腔の健康づくりを進めます

国民の口腔の健康を守り、「保険でよい歯科治療」を実現するために、歯科の診療報酬の抜本的な増額と改革、歯科医療の充実にむけた支援を進めます。

コロナ禍で経営が悪化している歯科医療機関、歯科技工所などへの減収補填と財政支援を行います。

歯科の初・再診料の水準を抜本的に引き上げ、医科・歯科間格差を是正します。

歯周病の治療・管理や義歯に関わる包括的・成功報酬型の診療報酬を撤廃し、治療行為を適正に評価する報酬に改定します。画一的な文書提供業務の押しつけをやめさせます。

国民の歯科医療への需要の高まりや、治療技術の進歩に対応し、保険治療の大幅な拡大と保険外治療の解消をはかります。金属床の部分入れ歯など、実績もあり、広く用いられている治療法を、長らく自費負担にとどめるなどの施策を改め、安全・有効で実績のある治療法は保険給付の対象としていきます。現在、保険で給付されている補綴物の保険給付外しに反対し、「混合診療」となっている欠損・補綴の保険移行をすすめます。

歯科衛生士の役割を、適正に評価する診療報酬にあらためます。

歯科技工士が安心して仕事を継続でき、歯科医と連携して「よい入れ歯」を保険で給付できるよう、歯科技工物にたいする診療報酬の改善をすすめます。海外技工物の輸入・使用・安全性の実態を調査し、材料・製作者・技工所などの基準を設けて規制を行います。

金銀パラジウム合金の価格が高騰し、保険償還価格を上回る「逆ザヤ」によって、歯科医療機関が赤字を被っている問題を解消するため、金パラ合金に関わる診療報酬の抜本的な見直しを行います。

歯科健診の充実など、国民の口腔の健康をまもる取り組みを国の責任で推進します。

社民 ある:2021年 総選挙政策[詳細版]

■歯科医療の充実

・歯科治療は保険適用となる治療の範囲が限られているために、所得の低い世帯ほど、歯科の受診を手控えるケースが増えています。健康格差を是正する観点から、品質や安全性が確認され、定着している治療技術や材料について保険適用の拡大を求めていきます。


2、新型コロナ感染症拡大への対応について
(1)新型コロナウイルス感染症拡大による経営危機に対し、すべての歯科医療機関、歯科技工所に減収補填を行うこと
立憲 その他:減収要件等の給付要件の緩和や対象の拡大、事業規模に応じた加算措置を検討しつつ、持続化給付金の再支給を行うべきです。

医療・介護事業者に包括的な支援金を支給し、医療・介護従事者には、慰労金の支給など待遇改善を進めるべきです。

国民 その他:国民民主党は昨年11月27日に医療機関向けの緊急包括支援交付金の増額を提案し、1月28日に成立した令和2年度3次補正予算にて実現しました。今後も新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の運用を柔軟化することなどが必要と考えます。
共産 賛成:新型コロナの感染拡大を受けた受診抑制により、歯科医療機関、歯科技工所は深刻な経営悪化に見舞われています。国民の健康を保持し、地域の医療体制を守るため、歯科も含め、すべての医療機関、医療関係業種に対し、国から緊急に、減収補填と財政支援を行うことが必要です。
社民 賛成:新型コロナウイルス感染症拡大は災害に等しく、医療分野はその重要性から減収補填が必要と考えます。


(2)感染症予防のためにも口腔ケアが重要であることは、広く認識されています。歯科医療機関に対して感染防護に必要な物資の確保や、歯科医療従事者への新型コロナウイルス検査の実施など、患者が安心して歯科治療を受けられるための方策として、どのような施策が必要と考えますか。
立憲 今年9月まで実施されていた診療報酬の上乗せ特例が打ち切られ、補助金に切り替えられましたが、補助金ではなく、上乗せ特例として再実施すべきです。
国民 コロナ禍対策として、(i)新型コロナ緊急包括支援交付金の増額及び経営が悪化している医療機関・歯科医院への経営支援、(ⅱ)検査体制の充実、(ⅲ)医療従事者・介護従事者等への慰労金の拡充を実施します。
共産 ご指摘のとおり、口腔ケアによって口内の粘膜細胞の健康を保つことは、新型コロナやインフルエンザなど、口・鼻・目の粘膜に付着・侵入してくるウイルスの感染を防ぐうえできわめて重要です。歯科医療機関における防護具の確保、感染を防ぐための施設の改修、歯科医療従事者の定期的検査などを国が補助する仕組みをつくります。
社民 各自治体のコロナ対策部署で、医療・介護従事者の感染防護に必要な物資を確保提供し、また検査の実施を推進できるシステムが必要と考えます。


3.いつでも、どこでも、だれもが、お金の心配をせず「保険で良い歯科医療」が受けられるための施策について国立社会保障・人口問題研究所「生活と支え合いに関する調査」(2017年実施)結果によれば、「お金がなくて歯科医師に行けない」という世帯は、全国で約160万世帯であると推計されます。また、高い窓口負担に加え、歯科では保険のきかない治療が歯科受診を妨げている要因にもなっています。その改善のために、
(1)窓口負担割合を引き下げることについて
立憲 その他:誰もが必要な医療や介護、子育て支援などのサービスについて、必要な時にためらうことなくサービスが受けられるよう窓口などでの自己負担を適正化すべきです。
国民 その他:窓口負担については割合が引きあがることにより、該当者の受診抑制や症状の重篤化などに繋がるなど多くの懸念があります。今後も検証や一定所得基準についての妥当性などを検討する必要があります。
共産 賛成:「現役世代=3割、高齢者=1~3割」という高すぎる窓口負担が、国民の家計を圧迫し、受診控えを引き起こす重大な要因となっています。とくに、歯科の受診抑制は深刻で、生活困窮世帯の子どもの口腔の健康破壊が深刻化しています。日本共産党は、子どもの医療費を無料化する国の制度をすみやかにつくるとともに、現役世代や高齢世代の窓口負担を引き下げることを提案しています。将来的には、他の先進国と同じ“窓口負担ゼロ”の医療制度をめざします。
社民 賛成:コロナ禍の影響で格差貧困問題が一層深刻さを増しています。窓口負担割合の引き下げ、保険料の減免が必要と考えます。

(2)保険のきく歯科治療の範囲を広げることについて
立憲 その他:保険のきく歯科治療の範囲は、誰もが必要な歯科医療を受けられるようにする観点と医療保険財政に与える影響とのバランスを考慮して検討すべきです。
国民 賛成:生涯健康な歯を持つことができるよう、乳児から高齢者まで切れ目ない定期歯科健診の普及促進、高齢者・障がい者の地域生活を支える在宅歯科診療・障がい者歯科医療の充実を図ります。また、虐待の早期発見にもつながるよう小児歯科検診の充実に取り組みます。
共産 賛成:歯科では、実績・効果があり広く用いられている治療法が保険外にとどめられ、患者は保険だけでは必要な治療が受けられず、高い自費負担に苦しめられています。国民の健康を守るため、歯科の保険診療を抜本的に拡充し、「保険で良い歯科治療」を実現することが必要です。
社民 賛成:歯科治療の保険適用範囲を拡大することに賛成です。

4.学校歯科健診で指摘された歯列・咬合異常について、子育て世帯が患者負担の心配なく治療できるよう、保険診療の拡大・公費支援の充実が必要と考えますが、どのようにお考えですか。
立憲 保険診療の拡大については、誰もが必要な歯科医療を受けられるようにする観点と医療保険財政に与える影響とのバランスを考慮して検討すべきです。また、子育て家庭などの医療費の経済的負担を軽減すべきです。
国民 生涯健康な歯を持つことができるよう、乳児から高齢者まで切れ目ない定期歯科健診の普及促進、高齢者・障がい者の地域生活を支える在宅歯科診療・障がい者歯科医療の充実を図ります。また、虐待の早期発見にもつながるよう小児歯科検診の充実に取り組みます。
共産 現行制度では、歯列・咬合異常の治療には、▽先天性疾患、▽顎の骨の大きさ・位置・形が著しく異常である顎変形症、▽前歯3個以上の永久歯萌出不全を原因とする咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするもの)など、一部の症例にしか保険適用が認められていません。学校の健診で治療の必要性を指摘されたのに、治療が自費負担となることが、保護者に受診をためらわせ、治療の遅れや病状の放置を招く重大な要因となっています。この問題をめぐっては、日本共産党議員が紹介議員となった請願(「子どもの歯科矯正への保険適用の拡充に関する請願」)が国会で採択される状況にもなっています。子育て世帯が金銭的負担の心配なく治療に向かえるよう、保険診療の拡大、公的支援の充実を求めます。
社民 子どもの成長、発育を守る立場から、保険診療の拡大・公費支援の充実が必要と考えます。

5.現在自治体による妊婦・母子健診、学校・自治体・事業所健診など様々な機会・分野で歯科健診が実施されています。また、国もライフステージごとの歯科健診を推進しようとしていますが、まだまだ不十分です。歯科疾患の重症化を防ぐために早期発見、早期治療を促す歯科健診を充実させるためにどのような施策が必要と考えますか(対象年齢の拡充、健診内容の充実、負担金無しなど)。
立憲

生涯健康な歯を持つことができるよう、乳児から高齢者まで切れ目ない定期歯科健診の普及促進、高齢者・障がい者の地域生活を支える在宅歯科診療・障がい者歯科医療の充実を図るべきです。また、虐待の早期発見にもつながるよう小児歯科検診の充実を図るべきです。

歯科口腔保健法に基づき、口腔ケアをはじめとする生活を支える歯科医療を充実し、歯科領域でもチーム医療を推進すべきです。

国民 生涯健康な歯を持つことができるよう、乳児から高齢者まで切れ目ない定期歯科健診の普及促進、高齢者・障がい者の地域生活を支える在宅歯科診療・障がい者歯科医療の充実を図ります。また、虐待の早期発見にもつながるよう小児歯科検診の充実に取り組みます。
共産 歯科疾患の早期発見・早期治療の重要性が叫ばれているにもかかわらず、現行では、学校健診以外では歯科健診が義務化されておらず、実施している保険者・事業主は限られています。成人に対する歯科健診の促進、健診内容の充実、自己負担の無料化、健診の実施主体への公的支援など、国が努力していくことが重要です。歯科健診の受診率向上には、口腔の健康に対する国民の認識の啓発や、“医者に行く時間もとれない”労働条件の改善も必要です。地元の歯科医と協力しながらの地域ぐるみの啓発活動や、長時間労働の是正、中小企業への支援など社会・経済の改革を進めます。
社民 幼少期から健康教育のなかに歯科分野を組み込む必要があります。妊婦・産婦への啓発は、本人のみならず子どもの歯を守ることにもつながります。成人の定期的な歯科健診を推進します。

6.超高齢社会をむかえ、専門的口腔ケアの担い手である歯科衛生士の役割はますます重要になっています。就業率は7割(※)という状況で、慢性的な歯科衛生士不足となっています。診療報酬の評価が低いために、歯科診療所で歯科衛生土が雇用できない状況が広がっています。その打開のために、どのような施策が必要と考えますか。(※「歯科衛生士及び歯科技工士の就業状況等に基づく安定供給方策に関する研究」(2019年))
立憲 歯科衛生士が健康寿命に極めて重要な口腔ケアの担い手としての働く場を拡大する等、就労環境を改善すると同時に、復職支援を進めるべきです。
国民 歯科衛生士については、口腔ケアの担い手としての働く場を拡大する等、就労環境を改善すると同時に、復職支援を進めます。
共産

高齢者のフレイルを防止し、口で咀嚼して物を食べ続けられるようにすることが、全身状態の改善や肺炎防止に効果があることは、医科や介護分野もふくめた共通の認識となっています。ご指摘のとおり、超高齢社会のなかで、専門的口腔ケアの担い手である歯科衛生士の役割はますます重要です。

歯科診療所が歯科衛生士を雇えるよう、歯科診療報酬全体を抜本的に増額するとともに、歯科衛生士の専門的な技能・労働を正当に評価する報酬体系へと見直していきます。高齢化による歯科需要の増大に対応し、歯科医療・口腔ケアの専門職をどれだけ確保するか、国として計画を持ちながら、病院・施設・事業所なども含めた歯科衛生士の配置に対する公的支援を行ないます。

社民 高齢者、障害者などに対する専門的口腔ケアの需要が高まっています。歯科衛生士の専門性を高めるとともに、その役割に関する社会的な認知度をあげ、同時に診療報酬を上げる必要があると考えます。

7.技工料が安いために低賃金・長時間労働を強いられ、離職する若い歯科技工士も増えています。歯科技工士養成学校の志願者が激減し、定員割れや廃校が急速に広がっています。歯科技工士の技術と労働を適正に評価するために、(1)補てつ関連の抜本的な点数の引き上げ、(2)労働時間と原価計算に基づいた製作技エ・保険点数の決定プロセスの確立、(3)歯科技工士に適切な技術料(委託技工料)が渡るような実効性ある取引ルールの確立が必要と考えますが、どのようにお考えですか。
立憲 歯科技工士の賃金・労働時間等の就労環境を改善し、「製作技工に要する費用」の考え方を明確にすべきです。歯科技工士の待遇改善のため、歯科技工指示書を処方箋化すべきです。
国民 歯科技工士の賃金・労働時間等の就労環境を改善し、「製作技工に要する費用」の考え方を明確にします。
共産 若い歯科技工士の離職の増大や歯科技工士学校の志願者の激減は、低すぎる診療報酬による歯科診療所の経営難、歯科技工士の技術・労働に対する低評価、安価な海外技工物の大量輸入による国内技工所の廃業など、歯科医療をめぐるさまざまな矛盾によるものと考えます。そこに、コロナ禍の影響が加わるなかで事態はさらに悪化しています。歯科技工士が「ワーキングプア」となり、低賃金と長時間労働に苦しめられる現状の、すみやかな解消が必要です。

歯科技工士が、安心して仕事を継続でき、歯科医と協力して「良い入れ歯」を保険で提供できるよう歯科技工物に係る診療報酬の改善を進めます。低すぎる補綴関連の報酬を抜本的に引き上げ、「混合診療」となっている補綴・欠損の保険移行を推進します。現在、保険で給付されている補綴物の保険給付外しに反対します。

ご指摘の「労働時間と原価計算に基づく製作技工・保険点数の決定」など、歯科技工士の技能と労働を正当に評価する報酬への見直しを進めます。歯科技工士に適切な技術料が支払われるような、取引ルールの確立も求められていると考えます。

海外技工物の輸入・使用・安全性の実態を調査し、材料・製作者・技工所などの基準をもうけて規制を行うとともに、国内技工物にかかわる報酬を引き上げます。

社民 専門職である歯科技工士の団体をつくり、ご指摘の課題について現場の意見をまとめ、制度化する必要があると考えます。

8.歯の治療で、かぶせもの等として使われる「歯科鋳造用金銀パラジウム合金(金パラ)」。金パラの価格高騰と市場実勢価格に追い付かない保険診療の告示価格によって、歯科診療所は「逆ザヤ」問題(治療するたびに歯科医療機関の赤字が生じる)に苦しんでいます。この金パラ「逆ザヤ」問題の解消のためにどのような施策が必要と考えますか。
立憲 歯科医療機関の経営に与えている影響を精査し、安定的な経営ができるようにする観点から、価格改定制度のあり方について検討していくべき課題であると考えます。
国民 金パラ逆ザヤ問題については、金パラの主な含有金属である金、銀、パラジウムの価格変動が大きく、長期的に価格が高騰し診療報酬改定時の価格改定に対応できていないことが原因の一つです。診療報酬の随時改定制度を含めた協議を推進していく必要があると考えています。
共産 金銀パラジウム合金が高騰し、保険償還価格を上回る「逆ザヤ」問題は、歯科経営を圧迫し、患者の治療にも影響を与える大問題であり、私たちもたびたび国会質問で取り上げてきました。歯科医療機関が負担した実勢価格に、保険償還価格を合わせる制度にするべきと考えます。
社民 原材料の市場実勢価格に合わせて保険診療を上げて「逆ザヤ」問題を解消し、あわせて窓口負担割合の引き下げ、保険料の減免が必要と考えます。

9.経済財政諮問会謹の「骨太方針」でも5年連続で歯科医療の充実等が記述されています。そのためにも、診療報酬の大幅な引き上げや歯科口腔保健関連予算の増額など、経済・財政的な裏付けが必要だと考えますが、どのようにお考えですか。
立憲 誰もが必要な医療を受けられるよう、医療の技術等を評価する観点から、診療報酬の引き上げに取り組むべきです。
国民

診療報酬等見直しについては現状を踏まえ、検討します。

社会保障制度の充実・安定化を図ることで将来不安を軽減し、「現役世代も高齢者も安心して消費できる社会」をつくります。

専門医養成のあり方や、指定医の認定制度のあり方に検討を加えた上で、診療報酬上の評価を行うことを目指します。

共産

この間、口腔の状態の改善が、全身の健康状態の改善、記憶・学習能力の向上、認知症の予防、病気の早期治癒などに大きく貢献することが、明らかとなっています。ところが、国民医療費に占める歯科診療の割合は7%弱に過ぎません。

歯科医療従事者の粘り強い運動や国民の要求を受け、歯科診療報酬の一定の改善が行われていますが、基本技術料の評価が低く、新しい技術がなかなか保険適用されないという状況は、いまだ抜本的には改善されていません。そのなかで、少なくない歯科医や歯科技工士が、「ワーキングプア」を呼ばれるような、生活と経営の困難に直面しています。

日本共産党は、口腔の健康の確保・改善をつうじて国民全体の健康の保持・向上を推進し、「保険で良い歯科治療」を実現する立場で、歯科診療報酬の抜本的な増額と改革、歯科医療の充実に向けた支援を進めます。

初診料・再診料の水準を抜本的に引き上げ、医科・歯科間格差を是正します。包括的・成功報酬型の診療報酬を撤廃し、治療行為を適正に評価する報酬に改定します。

国民の需要の高まりや、技術の進歩に対応し、保険治療の大幅な拡大と保険外治療の解消を図ります。

歯科技工士や歯科衛生士の役割を適正に評価する診療報酬にあらためます。

近年、歯科診療報酬には、設備投資や人員の確保を要件とした施設基準が導入されていますが、その結果、届出の要件を満たすことが困難な零細経営の診療所が“淘汰”される事態も起こってきています。すべての歯科診療所で医療の安全が確保され、質の高い治療ができるよう、“線引き”による傾斜配分ではなく、歯科保険医療全体の底上げと歯科医療機関への支援強化を図ります。

これらの改善を実現するためにも、この20年間、自民・公明政権が推進してきた、国の社会保障予算の「自然増」を毎年削減する路線を、抜本的に転換する必要があると考えます。

社民 国民の健康を守るために歯科口腔保健の分野は重要であり、関連の予算確保、経済・財政的な裏付けは必要と考えます。

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